
#PROFILEITANI YUTA
井谷優太さん
自分が暮らしやすい社会をデザインする。それが他の誰かの助けに必ずなる。
身体の自由を超えて、音楽で世界とつながる。 シンセサイザーとサンプラーを自在に操り、独自の音楽世界を築く井谷優太さん。2015年に日本バリアフリー協会が東京国際フォーラムにて開催する音楽コンテストで、音楽評論家の湯川れい子氏が審査員長を務める【第12回ゴールドコンサート】へ出場しグランプリを受賞。
手に障がいの無い出場者が殆どであった大会に大きな変革を起こし、彼の人生をも大きく変えました。翌年には2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた障がい者の芸術文化活動推進知事連盟】記者会見でのステージで大成功を納める彼の音楽は、テクノロジーと人間の感性が融合した、美しくも力強く、聴く者の心を揺さぶり、勇気を与え、そして希望を灯してくれます。
BIOGRAPHY略歴紹介
「家にいる時はTVゲームに没頭するような生活でした。」と語る優太さん。
これまでの活動と成功に至るまで、音楽との出会い、この道を切り開いてきたその原動力と彼が発信し続けている思いを語っていただきました。
「これが自分の普通」
自身の脳性麻痺の障害については3歳児検診の時にわかったそうです。
「始めからなので、これが自分の普通。」このように話す優太さん。
当時は福岡県に住んでいたが、3歳になる頃に鳥取県へ。米子市の皆生養護学校に行くことになりました。養護学校の隣にある小児医療センターに住みながら学校に通う生活が高校卒業まで続いた。
「養護学校を高等部まで卒業してからは、自宅からB型作業所に通っていたけれど全くやりがいが無くて、家にいるはTVゲームに没頭するような生活でした。」
思春期もあり自己主張も強くなる年代に、毎日同じ道を往復するだけの日々はもどかしい毎日だったようだ。しかし優太さんはこの頃から障害に縛られず持ち前の行動力を発揮していく。「これが自分の普通」
きっと当時の優太さんにとっては「普通」のことをしていただけなのだろう。

行動力
2009年に隣町で1人暮らしを始め、その頃に現在の活動につながるDTM(デスク・トップ・ミュージック)と出会った。この出会いと行動力が彼の人生を加速させていく。人生が大きく変わったきっかけとして2015年のゴールドコンサートでグランプリ受賞をあげている。
「PCや電子楽器の進化で、それらのテクノロジーに自分から出会えたことですね。そういう機器に迷いなく飛び付いて扱えるようになれたのが、活動の転機となった第12回ゴールドコンサートでのグランプリ受賞にも繋がったんじゃないかと思います。」
待っているのではなく自分から歩み寄っていく。行動してみる。優太さんの根底にあるマインドやスタンス。その考え方や行動力が現在の活動につながっている。過去も現在も「これが自分の普通」なのかもしれないが、間違いなく優太さんの行動力が今の成功につながっている。
2013年には、障がいのある人とない人が共に作る劇団「じゆう劇場」に俳優として参加、現在はフランス・ナントやタイ・バンコクでの海外公演に参加するなど、様々な表現手法にも挑戦している。

自信へとつながる自分への評価
持ち前の行動力と明るさ、表情からもすぐにわかる人柄だが、活動を続けながらも多くの不安や苦労もあったそう。今だからこそ思う2015年のゴールドコンサートでのグランプリ受賞がなぜ大きな転機だったのか。それは「その道の専門家に厳正に審査して頂き、評価してもらえたことが大きな実績となり、その後の実績にも繋がっていったからですね。」
「評価」がされたという事実が優太さんの大きな自信につながったようである。
誰しもが社会と接する中で根底には誰かに認めてもらいたい、必要とされたいと感じると思います。しかし現代社会の中では他人から認めてもらうこともまた複雑化している。特に芸術の世界では「評価」を得るという点において非常に難易度が高い世界です。その中で自分自身がやりたいこと貫き表現してきたことが「認められた」事実が現在の活躍へと飛躍させる原動力になっていたそうです。
「本当にたくさん反響を頂いて、当日は鳥取県知事からも祝福のコメントを頂き、翌日の新聞紙にも大々的に掲載されるなど、凄かったですね。」
この出来事が自信につながり、日本だけでなく世界にも活動の幅を広げていく原動力と「DJ Yuta」というサウンドクリエイターとしてのマインドにつながっていく。 「やはり最終的には自分自身との対話が一番重要ですよね。自分が心からしたいと思うことから目を背けない事が活動を続けるのに大切なんじゃないかな…そして、こだわり過ぎない!これも大事なような気がしますね。」
誰かのためになる、というマインド
今回のインタビューを通じていちばん心に残った言葉が優太さんの活動における原動力に関しての回答でした。「アートの力を借りて、気付きのきっかけとなるメッセージを発信し、自分が暮らしやすい社会をデザインするため。なぜなら、それが他の誰かの助けに必ずなるからというマインド」
なぜ優太さんが様々なことにチャレンジし行動に移してこれたのか。
自分が暮らしやすい社会をデザインすることは、すなわち同じ境遇、同じ悩み、同じ経験を持つ人にとっての助けになる。何かを始めるきっかけになると信じているから。その思いがあるから今の活動が続けられるということでした。
「人生は一度しかないので、周りは気にせず自分を解放して、やりたい事にぜひチャレンジして夢中になってほしい!」こうした言葉を投げかけてくれる優太さんを我々も応援したいと強く思わせてくれたインタビューでした。
MY GOAL今後の目標について
世界を飛び越えて宇宙!
最後に現在の活動を通して先に見据えている目標について聞いてみました。「世界平和なんて手ぬるいので、僕は真剣に宇宙平和を目指しています。それを今後も発信していきます!
全人口で協力し合って一人一人が幸せになれるスペースを作れたら最高じゃないですか?」最後の最後まで優太さんらしいと思わせてくれる答えでした。
最後に
誰かのために動ける人って素晴らしいですよね。待つのではなく動いてみる。「これが普通で、これが自分」、障がいの有無は一切関係ない。優しくオープンな人柄と誰にでも笑顔で接してくれる姿に惹かれたが、その裏には強い信念と「誰かのために」という優しさがありました。
大切にしている考え方は「宇宙平和、僕らの社会(仮)、メタ視点」。
世界に広がる景色は見る側の見方によって変わる。僕らの社会をどう描いていくかは見る人の見方によって変わる。その意味で(仮)をつけている。今後の社会(仮)はどうなっていくのでしょうか、優太さんが描いている社会に少しでも近づいていければいいですよね。
1人でも多くの人が同じ景色を描けるといいなと思いながら我々AIDも誰かのためになる発信を続けていきたいと改めて強く思う有意義な時間でした。